マケドニア玩具倉庫

無駄遣いをヌタヌタと書き綴ったブログ…

イタリア戦艦本製作開始 

結局作り始めてしまった。
最終的な引き金を引いたのは世界の戦艦プロファイル(大○本絵画)であった。

Amazonレビューで星4.7と高評価だったこともあり1隻を掘り下げるスタイルではないんので軽い解説は覚悟の上だったが、ネイビーヤード編集部ということで模型作例用のリサーチでは瑞鶴の甲板を現存映像から補正ソフトで平面形状を割り出すなどなかなか先進的な面もあったこともあり多少は既存情報の中でもレベルの高いまとめを期待していたのですが。

以下引用する一文で心が折れました。

「タラント空襲でコンテ・ディ・カヴールは大破着底、浮揚には成功したものの修理は着手されず、戦後の1952年に解体処分されている」


浮揚には成功、修理は着手されず、1952年頃に解体された

タラント空襲から75年目にして新事実爆誕!


今すぐ星に帰れ!

なにも一つぐらい間違いがあっても今更、とお思いの向きもあるだろう。
違うんだ。
これがつまり、イタリア戦艦のことなど全く知らないし仕事であっても調べる気もないし、世○の艦船丸写しだという決定的な証拠なのだ。

どういうことかというとコンテ・ディ・カブールがタラント空襲で大破着底したところまではみなさん異論もないだろう。
水面から艦橋などの上部構造物だけが出ている痛ましい姿は誰がどうみたって大破状態だ。

ところで世○の艦船2000/7の第2次世界大戦のイタリア戦艦の記事「第2次大戦に参加したイタリア戦艦のプロフィル コンテ・ディ・カブール級」に以下の様な記述がある。

「コンテ・ディ・カブールは、第2次世界大戦終結時には大破状態にあり、1952年頃に解体された」

大戦終結時には大破状態にあり、1952年頃に解体


もうおわかりと思う。
イタリア戦艦について何も知らない筆者はこの記述とタラント空襲で大破した、のあれとこれとが頭のなかで一本の線で結ばれてしまったのだ。
大破状態になった後、大破状態で終戦を迎えたのだから当然修理なんてされていない。
そこに修理未着手という新事実が生まれてしまったというわけだ。

そして、それが事実であるかなんてきちんとチェックはされたはずはなかった。
このプロフィルは主に船体構造の解説と終戦時の状況しか記載がなく、他の戦史はこの後ろ、「戦歴と検証の評価」にまとめられている。
そこにこう書いてある。
「カブールの救難作業は難航し、1947年7月浮揚には成功したものの、ついに休戦まで艦隊復帰はできなかった」

浮揚には成功
艦隊復帰はできなかった

じゃあやっぱり修理なんてされてませんよね♪

誕生!珍説「コンテ・ディ・カブールはタラントで大破した後浮揚には成功したが修理はされず大破状態のまま終戦を迎え1952年頃解体された」


さらにはこの素人が2分(たまたま最初に手にとったのがあたりだっただけだが)調べただけでどの文を写したのかすら分かってしまうようなお粗末な珍説をだれもチェックしないで/または嘘だとわからず本に載せたのである。
だいたいにして普通なら解体の前に1947年除籍がまずはかかれるはずなのになんでないのかな?とかね。

もうね、絶望しか無い。
そもそもプロフィルと戦歴の検証と評価の筆者は別人である。
その時点で内容がリンクしているわけはない。
脳内妄想で都合のいい表記を見つけてくっつけてしまったのだ。
これが戦艦大和や武蔵でも同じことをしただろうか。

戦艦武蔵はアメリカ軍がパラオに迫ったため一時環礁を出て警戒行動を採っていたものの米潜水艦の雷撃により艦首部を損傷、
最終的に魚雷の被害で1番主砲塔より前の非防御区画が全部浸水してし浮力を失ったことが沈没の直接的な原因となった。
沈没直前の艦首部の浮力が失われた姿が駆逐艦磯風の水雷長が撮影した写真に残っており、利根からは猪口艦長に対し『ザイドリッツの戦例に鑑み艦首浮力の保持に努められよ』と信号が送られたとのエピソードも残っている。

どうよ?なにもしらなければ文章としてはおかしくなかろ?
そして個別の事実は嘘でもなかろ?
でもこんなこと書いてあったら怒るだろ?

武蔵が沈んだのはレイテ沖海戦だよ!って。
魚雷は魚雷でも航空魚雷だよ!って。
そのぐらい酷い適当な仕事だよ。。。。

Cavour_23 (1)

終戦後のカブールの姿である。
これが浮揚に成功して修理されなかった戦艦に見えるなら脳神経科か眼科に行くことをおすすめする。
浮揚してタラントからトリエステに移動して行われたカブールの修理は1941年の終わりには概ね完了しており、翌1942年以降イタリア休戦までの間、新規改装工事を行っている。
カイオ・デュイリオで採用した135mm副砲を両用砲化した連装砲へ換装し、レーダーの装備など装備を一新して強化する計画だった。
しかし工事は遅々として進まず最終的には修理完了時には健在だった測距儀も外してしまった、かなり不完全な姿で休戦を迎えている。

そしてレジア・マリーナの主力艦艇がマルタに逃れる中、トリエステに取り残されたカブールはドイツ軍が接収、1945年に連合軍が空爆してこれを撃沈、写真のような転覆した状態で終戦を迎えた。
港だったから大破扱いだっただけでぶっちゃけ完全な撃沈である。

知らなかったというかもしれない。
でも知らなかったら何書いてもいいってわけじゃないのは普通わかるだろ…。
でもそんなレベルの扱いしか受けていないのが今のイタリア戦艦なのだ。

日本語書籍で目を通した中で一番イタリア戦艦について新しい説をきちんと紹介しているのは
ミリタリークラシックスの2012年6月号掲載のリットリオ級の紹介である。
こちらは何十年も前に書かれたような世界の○船の丸写しではなく、
Erminio Bagnasco著のThe Littorio Classの内容を取り入れた解説になっている。
もちろんこれだって大きな間違いがあるかもしれないが、世界の○船が広めた当時の知識から
かなり進歩し、かなり突っ込んだ内容となっている。
だいたい40年も前に出たイタリア書籍にも書いてあることが世界の○船では間違って紹介されているわけだから
それを丸写しとかマジありえないわけで。

先日紹介したダンケルクの航続距離も世界の○船のフランス戦艦の孫引きである。
試しに各国のwikiなどググってみるとわかるのだが世界のどこにもそんな珍説紹介されていない。
なのに日本では複数の出版社、複数の書籍にドヤ顔で掲載されているのだ。
そしてそれらが全部無検証の孫引きであることは言うまでもない。

だから本能的に変だなと思って珍説「大西洋での行動を視野に入れたからダンケルクは航続距離が長い」
とか言うのが生まれるわけだ。
ダンケルクの拡大版であるリシュリューが12knotで10000海里と書いたその手で、ダンケルクが17knotで16400海里と書いたらおかしいと思えよ、ってだけの話である。
フランスだのイタリアだの人気がないから調べる手間を割くのが惜しいのかもしれない。
日本語資料に乏しい船について基礎的なところを世界の○船に頼るのもわかる。
でもそれを無批判に丸写しする意味が本当にあんのかね?

というわけで国内で出版される書籍に期待するのはもうやめた。
もしかしたら今まさにすごい精度の執筆している人がいるかもしれない。
だがまぁただのイタリアをはじめとした欧州艦好き一年生にはそれを知るすべはないので、
自分が納得できる本を作りたいだけである。

同人誌で金を儲けて何が悪いなどの議論があるのは承知しているのだが、
自分の同人のモットーは欲しいものは先ず探す。
そして、「自分が欲しいものが無いのであれば自分で作ってしまえ」である。
どんな本になるのか、本当に完成するのかもわからないが、
まずは手を動かさなければ始まらない。
当然、ただの素人なのでクオリティはお察しであるがあからさまな嘘はない本にしたいと思っています。

稚拙ながらもイタリア戦艦の基礎基礎が押さえられた入門本、みたいなものになったらいいなぁと思っています。



あ、これやってるので黒森峰作る作業時間が失われているのは勘弁な!
[ 2016/02/27 01:59 ] 日記 | TB(0) | CM(6)
そういう「怒り」からくる創作意欲は良いですねぇ。
別のところでも書きましたが、是非、購読者1号として今から
予約を入れておきます(^ー^)
あっ!取り置きしている「トートバック」の件もあるし、近いうち
どこかでお会いしましょう。
お兄さん(おっさん)1杯奢るから(笑)
[ 2016/02/29 09:50 ] [ 編集 ]
イタリア戦艦で、CONWAYのオレンジ本とか緑本の旧版をざっくり訳して説明終了ってのは結構ありそう。家で見てみよう。プロだって手間をかけなければよい仕事はできません。夏が楽しみです。
[ 2016/03/01 12:10 ] [ 編集 ]
>軍曹亭さん

先日ネットゲームで「戦艦大和」「菊花紋」を敵に登場させることで炎上していた案件がありましたが
アレなんかは大なり小なりやはり「大和」にみんな思い入れがあることの証左ですよね。
主張の正しさは抜きにしてもだから声を上げる人が多いんだと思います。(便乗の愉快犯も居るでしょうが…)

イタリア戦艦は今のところ冷遇されっぱなしですので(あんなにかっこいいのに!)飾るところはないまでもせめて嘘がないくらいにはしたいですよね!
みたいな感じですかね。
自分も知らなかったことはちょいちょいあるなと改めて思っていますしまぁせめて英語圏標準と同じくらいの
認識にはなりたいものです。

あはは。それとお酒は体質的に飲めないので美味しいところで!
[ 2016/03/03 16:16 ] [ 編集 ]
>かせいじんさん

当然反響がないからお金にならないから時間もかけない、という判断はあると思いますが、原稿料がお幾ら、とは別にこの手の本は読者から1冊何千円ものお金を頂戴するのも分かっているわけですからそこは手間を掛けられない、ではやはりプロとしてどうかと思うところもあり。
しかして日本のプロは現実問題お金も時間もかけない、というのであれば当てにしていてもそこにある知りたい話は書籍で読むことは出来ないので自分で作るしか無いですよね…。
コンテ・ディ・カブールは国内のネットだと1943/10/10に自沈、ドイツが再浮揚したことになっているサイトも多いですが、
実際は…みたいなのも結構まかり通っていますのでなんかそういうのもケアできたらいいなぁとは思います。
もちろん英語の成績がずば抜けて悪かった自分のこと、英文資料を誤解、誤訳することもあるでしょうしいわんや他の言語においてをや。
でもいま日本に出回ってる情報のまとまり方が変だと気づく別の人が出ればそれだけでもラッキーかなぐらいの気持ちです。

夏に完成するかは甚だ疑問というのがありますので気長に…。
[ 2016/03/03 16:28 ] [ 編集 ]
コンウェイの全世界軍艦総覧英国版より。緑本の略歴には除籍の1952年が書かれていて、オレンジ本には1945年の沈没が書かれていました。何年版のどの本を底本にしたのかでも変わりそうです。
ミリタリー選書13イタリア軍入門では簡単な記述ながらもイタリア語の文献を元に記述されていたように思われます。
正確な資料を作るためには、どうあっても公式記録と写真つき資料を当たるしかなく、手を抜いた三次資料を元に良い四次資料を作ることはありえません。出典を明記したプロにも愛される二次資料の完成を期待します。

[ 2016/03/05 08:29 ] [ 編集 ]
誤解があるようなので先に明言しますが出典を明記したプロにも愛される二次資料が完成することはありえません。
理由はたくさんありますが目的が違うこと、そしてそもそも一次資料を手に入れるつても資金もありません。
故にプロが愛用する二次資料が出来上がることはありえません。
マケドニア本舗は自分のファン活動の場であって、軍事研究家になりたいわけでもなく、イタリア艦艇の論文を出したいわけでもなく。ましてイタリア軍の元極秘資料の情報を開示したいわけではありません。

イタリアファンとして素人が2秒でわかる大嘘が商業誌で流布されてるのが嫌なのでまとめなおそうという話ですので。
逆に言えば一次資料を見ないかぎり間違いかどうかもわからないようなことは範疇には入らないということです。

そもそも一次資料は扱いが難しいのは言うまでもなく、書いた人の立場や状況、書かれた目的を正しく把握しなければ
その内容を鵜呑みにしていいのかすらわからないが一次資料です。
現代でも失敗した事業の報告書、始末書を読むだけで本当の失敗の原因や全体像がわかるわけではありません。
当然こんな軍事のぐの字も知らないような素人に扱えるものではありません。

ただ、さきにblogであげたような事例は調べれば間違いであることまでは容易に分かります。
トリエステで修理されているカブールの写真はそれこそ沢山残されていますし、
逆にチェザーレがタラントで大破着底した事を示す資料なんてどこにもありません。
デュイリオがつんのめっている写真はありますけれど。

じゃあその写真の裏を取るためにイタリア軍の報告書を手に入れる事が可能なのか、というと自分には無理なので。
そういうものがほしい人は自分で頑張って作ってね、というのが弊サークルのスタンスでもあります。

同様に自費出版の同人誌でなんか凄い珍説などあるものが出ていても文句はいいません。
そういう同人誌も持っていますが解釈の間違いなど散見されても別にそれをどうこう言うつもりはありません。
仮にそれが同じ筆者であってもです。
それは別にそういうものを自分のお金で出したかった結果なのでコミケの精神からすればとやかくいうことではないのです。

貧乏なピコ手コミケサークルがあくまで自分の欲しいものを作るだけですので、ご期待には添えませんが申し訳ありません。
[ 2016/03/05 23:09 ] [ 編集 ]
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